ストコフスキーのエレクトリック・オーケストラ

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・エレクトリック・オーケストラ計画の概要

指揮者のレオポルド・ストコフスキーは1938年の終わりに、電気楽器や電子楽器からなるアンサンブル、「エレクトリック・オーケストラ」を編成し、ゴールデン・ゲート万国博覧会 The Golden Gate International Exposition(会期:1939.2.18 – 10.28)、でコンサートを行うことが計画されていました。しかし、エレクトロニクスが音楽家の仕事を奪うことを懸念した演奏家ユニオンが計画の中止をストコフスキーの要請したことで、その計画は残念ながら実現はしなかったようです。

・楽器編成

楽器編成に関しては、ストコフスキーの手による7枚のノートが残っています。それぞれ内容が少しづつ異なるのですが、次の編成が最終形態に近いのではないかと考えられます。

  • 1 Theremin
  • 1 Hellertion
  • 4 Hammond  Organs
  • Percussion (2 Players)
    • Deagan Electric Bass Marimba,
    • Deagan Electric Vibraphone
    • RCA Chime
  • 2 1st. Electric Violins
  • 1 2nd. Electric Violin
  • 1 Electric Viola
  • 1 Electric Cello
  • 1 Electric Contrabass

・エレクトリック・オーケストラの目的

ストコフスキーは電気増幅を用いることで、無音に近いピアニッシモから、唸るようなフォルテッシモまでのクレッシェンドも可能になるということを強調していました。このことは、電気増幅というテクノロジーを、単純に音量を大きくするというよりは、ダイナミックレンジの拡大として考えていたことがわかります。

また、ストコフスキーは、エレクトリックオーケストラが普及すれば、オーケストラを組む予算のない小さな町でも、オーケストラ音楽を演奏することができるようになるとも述べています。

以上のことから、ストコフスキーのエレクトリック・オーケストラ計画の狙いは

  1. 演奏表現の拡大(特にダイナミック・レンジの拡大)
  2. 管弦楽作品の演奏機会の拡大

であったといえるでしょう。


参考文献

藤野純也「ストコフスキーのエレクトリック・オーケストラ—計画の詳細とその経緯」『藝術文化研究(18)』大阪芸術大学, pp.85-102, 2014


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