マグナオルガン(1934)

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楽器名:マグナオルガン
発明年:1934
発表年:1935
発明者:山下精一
特許:特許第108664, 110068, 111216号
特許権者:日本楽器製造株式会社

マグナオルガンは日本楽器製造株式会社(現ヤマハ株式会社)が戦前に設置していた「電気楽器研究室」が1934年にリードオルガンをベースにして開発した電気オルガンである。マグナオルガン は1938年の山葉オルガンカタログに掲載されており、受注生産の形での販売が見込まれていたと思われる。

『新電気楽器マグナオルガンのご紹介』と題された小冊子には、ストップを操作することで「フリュート」「オーボー」「メロディア」「ヴォックスセレステ」「セリショナル」「クラリネット」「コルネットエコー」「エオリアンハープ」「ヴィオラドルシ」「ダルシアナ」「ダイアパーソン」「ブルドン」等、パイプオルガンを模倣した音響が得られるとあるがその機構に関しては不明点が多い。特許明細書には二つの異なった機構が記されている

機構1 特許第 108664 号(1934 年 3 月 15 日出願)

リードの振動をマイクロフォンにより集音し、その信号を周波数逓倍器に入力することで、5倍音と7倍音を除く、9倍音までの部分音(倍音)を生成する。

マグナオルガンの逓倍器接続図

機構2 特許第 110068 号(1934 年 5 月 9 日出願)

逓倍回路は用いず、1. 音色が異なる複数の発音体 2. 特性が異なる複数のマイクロフォン、 3. 特性が異なる複数 のスピーカ  を「所定の楽器の音響的特性に近似なる如く」(特許第 110068 号明細書) 組み合わせることで種々の音色を 生成する。


参考文献

・特許第108664, 110068, 111216号『電気楽器』

・『新電気楽器マグナオルガンのご紹介』日本楽器製造株式会社 (発行年不明)

・『山葉の繁り』日本楽器製造株式会社, 1936

・『山葉オルガン』(カタログ), 日本楽器製造株式会社, 1938

藤野純也「日本楽器製造の電気楽器『マグナオルガン 』の理想と現実」『藝術文化研究』24, 大阪芸術大学芸大学院芸術研究科, pp.69-89

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