期待感を演出するサブドミナント開始—Hello Goodbyeの分析(1)—

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Hello Goodbyeはたった2つのセクションとそのヴァリエーションのみの非常にシンプルな構成かつ、メロディも単純です。それにも関わらず何度でも聴きたくなる不思議な魅力を持った曲です。これから3回にわたり「期待」「ワクワク」「余韻」の3つの観点から当該楽曲に魅力の正体に迫ります。

当該楽曲の核となるセクションは F C G Amという進行で始まる[A]と C C/B Am Am/Gというコード進行で始まる[B]の2つです。今回問題にしたいのは[A]のセクションです。

[A]のセクションはサブドミナントの和音から始まっています。そのことで開かれたサウンドとなり、期待を演出する上で一役かっています。2小節目で主和音のCが登場しますが、変格終止という終止感の弱い進行により導かれているので主和音Cの登場がそれほど強調されません。

3小節目にドミナントが登場しますが、Amに進行してすることで完全終止を避けています。これが一番のポイント。つまり、最も力強い進行であるドミナントモーションをセクションの最後まで登場させず聴き手を「じらす」ことで期待感を煽っているのです。そして、”I say hello”で完全終止することで[B]のセクション冒頭の主和音が満を持して登場します。

つまり、サブドミナント開始という開かれた開始と、完全終止を[A]の最後まで避ける構成によって「期待感」が演出されているのだと言えるでしょう。このような構成のビートルズの楽曲は他にもあるので探してみても面白いでしょう。


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