バンドマンのためのセッション用楽譜作成講座(1)

0. はじめに

 セッションというとジャズのイメージが強いです が、最近はJ-POPセッションなども盛んになりつつあるようです。J-POPの場合ジャズ・セッションと違い「定番曲」があまりありません。ステージで 演奏される曲をプレイヤーが知らないという状況も少なくなく、ステージ上の全員が曲のコードや構成を知っていれば問題ないのですが、そうで無い場合は、最低限コードと構成がわかる楽譜が必要になります。そんな時、楽譜の代わりにコードが付記された歌詞カードを渡されることがあります。

EX.1(コード付き歌詞カード)

「歌本」等で見たことのある方も多くいらっしゃると思いますが、実はこれ、初見演奏にはまったく役に立ちません。コード・チェンジのタイミングがわからず、曲の構成も把握しにくいからです。「コード付きの歌詞 カー ド」は、あくまで曲を熟知している人のための「メモ」に過ぎず、初見の演奏者も多いセッションには向いていません。

1. 初見セッションに最低限必要な情報

初見演奏に最低限必要な情報は①曲の構成 ②コード進行 ③コード・チェンジのタイミング ④合わせ、キメなどのリズム、の4つです。イントロや間奏の決まったメロディがあればそれも書かれているとより良いのですが、実際のところメロディは知っている人が弾けば良いので、最低限記譜が必要なのは上記の4要素です。これらの要素のみを記譜した楽譜のことを「マスターリズム譜」と言います。

2.楽曲構成を把握する

 マスターリズム譜を作成する前に、セッションに持ち込みたい曲の構成を把握しましょう。今回は次のような構成の曲があると仮定し、楽譜を作成します。
 イントロ→Aメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→ブリッジ→Aメロ→Bメロ→サビ→ギター・ソロ→サビ→サビ→エンディング
構成を把握したら、ノートでもスマホでも良いので書き出して、各ブロック毎の小説数をメモしておきましょう。
イントロ(4)→Aメロ(8)→Aメロ(8)→Bメロ(8)→サビ(8×2)→間奏(4)→Aメロ(8)→Bメロ(8)→サビ(8)→ギター・ソロ(8)→サビ(8)→サビ(8)→エンディング(4)

3.マスターリズム譜を作ろう(構成の記譜1)

  新しい五線紙を用意してください。A4サイズ12段程度が僕は好みです。楽器屋さんに行けばいろいろな五線紙が売っていますが、高級なものを使う必要はあ りません。ただし五線ノートではなく、一枚ごとに切り離せるようになっている便せん状のものを使うようにしてください。

小節線を引いて構成をメモする。

 それでは構成を記譜しましょう。といっても難しいことは何一つありません。メモを見ながら小節線を引いていくだけです。分かりやすいように、各ブロックの始め の小節に「Aメロ」「Bメロ」など小さく書いておきましょう。(これはあとで消します)まずはブリッジの終わりまで構成を楽譜に書き取ってみましょう。な お、二段目から書き始めているのは、曲のタイトルを書いたときに楽譜が見にくくならないようにするためです。
曲の構成がより明確になるよう、各ブロックの終わりの小節線は二重にしてください。二重の小節線のことをダブルバーと言います。なお、この構成を示すダブルバーの使い方はポピュラー音楽特有のもので、クラシック音楽では一般的ではありません。
 リハーサル番号

便宜上各ブロックの頭に「Aメロ」「サビ」などと書きましたが。実際の楽譜では「Intro.」「A]「B] 「C]等の文字を□で囲ったリハーサル・レター/リハーサル番号/練習番号などと呼ばれる記号を記すのが一般的です。ので構成のメモをリハーサル番号に置き換えましょう。

ここでとても大切な注意があります。リハーサル番号の[A][B]という文字とAメロBメロは関係がありません。たとえばAメロが2回連続で繰り返される状況で1回目のAメロに「A」というリハーサル番号を与えた場合、2回目に登場するAメロのリハーサル番号は「B」になります。リハーサル番号は区切りごとに順につけ、一度用いたリハーサル記号は二度使わないようにしてください。

 リハーサル番号はその名が示すように、リハーサル時の意思疎通を円滑にするためにあります。Aメロだからといって、すべてA、サビだからといってすべて 「サビ」とかいていると「サビの部分だけど…」なんて言った時、いったいどこのサビのことなのかわからかなくなってしまうからです。
※人によって流儀はさまざまですが、イントロやエンディングは曲中一度しか登場しないので、僕は[In.][End]などと記しています。

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