バンド論一覧

爆音問題について

「ギターとドラムが爆音すぎてヴォーカルが聴こえない」アマチュアバンド界隈でよく耳にする愚痴である。

初心者ならば、自分のパートのアンサンブルの中での役割、他のパートのコンビネーションなどを意識する余裕がなく、自分が演奏することで精一杯になってしまうのも理解ができる。しかし、中級者以上で、ある程度の演奏能力を有するプレイヤーの中にも、爆音でアンサンブルを破壊しがちなする人はしばしば見られ、むしろこちらの方がタチが悪い。

なぜある程度演奏できるにも関わらず、そのようなことになってしまうのだろうか。恐らく「爆音でアンサンブルを破壊」する人が好きなのは「楽器を演奏すること」であり「音楽を演奏すること」ではないからであろう。

つまり、個々のパートがそれぞれ「カラオケ」をやってしまってるのである。それでは「音楽」になるはずがない。「音楽」とはアンサンブル、言い換えればパート間の対話であるからだ。

楽器を演奏するという身体的な快楽の前に、音楽を演奏するという美的な快楽が優先されなければならない。そうすることで、自ずと「アンサンブル」が意識され「音楽」 になるのである。


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