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バンドマンのためのセッション用楽譜作成講座(2)

5. 構成の記譜(2)

 サンプル曲の構成をおさらいしましょう。ブリッジが終わったあと、2回目のAメロからサビまでがまるまま繰り返されています。

 

曲の構成
イントロ(4)→Aメロ(8)→Aメロ(8)→Bメロ(8)→サビ(8×2)→間奏(4)→Aメロ(8)→Bメロ(8)→サビ(8)→ギター・ソロ(8)→サビ(8)→サビ(8)→エンディング(4)
繰り返される部分を[Br.]の次の段から再び書くと楽譜の枚数が増えて、構成が一目でわかりにくいのでリピート記号を用います。

リピート記号

リピートの記譜

これでブリッジが終わったあと、Aメロの二回目に戻ることができるようになりました。ちなみにリピート記号にヒゲが生えているのは演奏時にリピート記号の位置を見落とさないようにするための工夫です。
 リピート記号は原則、あるブロック全体の繰り返しや、複数のブロックのまとまりの繰り返しを示すためのものなので、あるブロックの中の一部分の繰り返しを示すために用いるのはやめて下さい。また入れ子状態に2つのリピート記号を使うことも避けて下さい。構成が見えなくなり、演奏ミス誘発の原因となります。

このようなリピート記号の使い方はやめましょう。

6. 構成の記譜(3)

 曲の構成のメモをもう一度見て下さい。ブリッジが終わり、2回目のAメロからサビまで演奏したあとはギターソロに入ります。しかしこの楽譜のままではまた ブリッジを演奏することになってしまいます。そこで、「1回目はブリッジに行くけど2回目はギターソロに飛んでね」という意味の記号を付加します。ミュー ジシャン同士の会話では「イチカッコ」「ニカッコ」と言われます。

イチカッコ、ニカッコ

6. 構成の記譜(4)

8小節のギターソロが終わるとサビ=[D]にもどります。それを表すには、ギターソロの終わりの小節の右下に “D.S.”(ダルセーニョと読みます)と書き、[D]の小節の左上に次の図の記号を記します。これでギターソロのあと、[D]に戻ることができ
ます。

セーニョ

  D.S.で[D]=サビに戻り、さびを演奏し終えたら、もう一度さびを繰り返します。さて、これをどのように記譜しますか? リピート記号と答えた方、残 念ですが間違いです。ここでリピート記号を使うと禁じ手の「入れ子状のリピート記号」となってしまいます。そこで[D]の終わりに次のように記譜します。

トゥ・コーダ

「トゥ・コーダ」と読みます。D.S.で戻った後、丸に十字の記号が書かれた箇所(コーダ)に飛びなさいという意味です。(D.S.を通過するまでは無視されます)
コーダの小節の上に一段の空白が開けられている点に注目してください。これはD.S.を見落として[END]に入ってしまったり、to codaのあとcodaがどこにあるのかわからなくなり演奏が落ちてしまうというミスを防ぐための工夫です。
 市販楽譜にはよく D.S.や to codaが2つも3つもあるものがありますが、演奏ミスを誘発する原因になるので絶対にやめてください。“コーダ”は曲のおしまいの部分という意味なので、2つも3つもあること自体おかしいのです。リピート記号、D.S.やTo Codaは単純に楽譜上をいったりしたりするための記号ではなく、「構成」を示す記号であるということを意識し、一目で構成が分かる記譜を目指してください。そうすればセッションやリハーサルでのコミュニケーションが円滑になるでしょう。最終回はより演奏者に親切で、より演奏をよくする記譜法をご紹介します。

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