Penny Lane(The Beatles)の転調の分析

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・実にピアノ的なコード進行

Penny Laneのコード進行を細かく分析すると、作曲のツールがギターからピアノに変わったことがうかがえます。たとえば4小節目、Key of BからKey of Bmに転調しますが、このとき右手で演奏されるBmのトライアドは3小節間保持され、左手のみH→Gis→Gと動いた結果、Bm G#m7-5 GM7というコード進行になります。この発想は極めて鍵盤的であり、ギターではなかなか思いつかないでしょう。

・強引だが巧みな転調

調はKey of B →Key of Bm→ Key of A →Key of B、主調→同主調→同主調の平行調の属調→主調の流れで推移します。[A]のセクションは普通に主調のドミナントに半終止しているので、転調せずに[B]のセクションをkey of Bにすることも可能ですそれにも関わらず、主調の二度下にやや強引に転調したのは、途中で一度同主調を経由するため、 主調と同主調を行き来するよりも、[B]で同主調の平行調の属調に転調したほうが広がりがでると考えたのかもしれません。

・主旋律に7thをとらせるセンスが素晴らしい

主調から同種調に転調するときは通常ドミナントコードを経由します。しかしPenny LaneではBからダイレクトにBmに進行しています。かなり強引です。しかし実際の曲をきくと強引さはさほど感じず、哀愁すら漂います。

その理由は主旋律が7thをとっていることにあるでしょう。並みのセンスだと、マイナー3rdの音をとるか、ルートをとってしまうところです。

・ピヴォットコードの使い方が巧み

[A]から[B]の接続部のコード進行 F#7sus4→F#7→E→A は一見強引です。

F#7は先行調のドミナント、Eは後続調のドミナントであり、この2つのコードをスムーズに連結するには普通はF#7とEの間にB7を挿入します。しかし、B7は挿入されていません。

実はF#7がsus4になっていることがポイント。F#7sus4の構成音をよく見ると B(9)sus4/F#と解釈することが可能であることがわかります。つまり、後続調のドミナントへと連続するセカンダリドミナントになっているのです。


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