Strawberry Fields Foreverの変格終止に関する仮説

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はじめに

Straberry Fields ForeverにLet It Beのピアノと同じフレーズが登場することに気がついた人は少なくないだろう。Straberry Fields ForeverのBメロの終わり”It doesn’t matter much to me”の後ベースで弾かれるフレーズと、Let It Beのイントロやサビの終わりで弾かれるピアノフレーズが調こそ異なるものの、基本的には同じである。

この一致を、偶然やポールの手癖と解釈することはもちろん可能であるし、多くの人はそう考えるだろう。しかし、筆者はそうは思わない。このフレーズには共通のバックグラウンドがあるように思えてならないのである。

変格終止

Let It Beのイントロの終わり、Straberry Fields ForeverのBメロの終わりのコード進行は下属和音から主和音の進行(IV→I)で変格終止と呼ばれている。変格終止はキリスト教会で歌われる祈りの歌において、「アーメン」と歌われる時に用いられるハーモニーであることから、俗に「アーメン終止」と呼ばれることも多い。

キリスト教文化圏で育った人なら、変格終止のサウンドを耳にするだけで、「アーメン」という言葉がなくとも、それが祈りの音楽であることを想起するだろう。

Let It Beの宗教性

そのような言葉なき「アーメン」がLet It Beには登場する。再三例に上げているイントロのおわり、サビの終わりに出現する「ファーミレドー」である。

Let It Beの歌詞が宗教的意味を帯びていることはよく指摘されており、歌詞に登場する”Mother Mary”が聖母マリアを示しているのか、ポールのお母さんのことを示しているのか、その解釈を巡る議論はこれまで度々行われてきた。筆者も前者の立場を取っている。その理由はただ一つ「変格終止が用いられている」からである。

キリスト教文化圏の人々なら、”Let it be”と歌われたあとの変格終止を聴くだけで、Let Ie Beという作品にこめられたポールの「祈り」を感じ取るのではないだろうか。

Straberry Fields Foreverにおける宗教的バックグラウンド

では変格終止が用いられているStraberry Fields Foreverにも、Let It Beのような宗教的バックグラウンドはあるのだろうか。

この作品がジョンが子供のころに遊んだリヴァプールに実在する孤児院Straberry Fieldをイメージして作曲されたことはよく知られているが、実は、この孤児院の母体はキリスト教系の慈善団体、救世軍 The Salavation Army であった。Straberry Fieldの孤児達はお祈りの歌に親しんでおり、毎日のように「変格終止」の響きが聴かれたことは想像に難くない。

Let It Beにおける変格終止が「祈り」の象徴であったのに対し、Straberry Fields Foreverにおける変格終止はStraberry Fieldという日々祈りが行われている「場所」を象徴しているとは考えられないだろうか。

おわりに

以上述べたことは現段階では筆者の妄想にすぎないが、仮説としては面白いと思う。リヴァプールの教会または英国の「アーメン終止」がどのようなフレーズだったのか、ご存知の方がいたら教えてください。もしそのフレーズが「ファーミレドー」だったとすれば…


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